アートサポートふくおか 文化政策レクチャーVol.4
市民と行政がつくる文化振興プラン
講師:京都橘女子大学文化政策学部助教授 小暮 宣雄 氏
2005年2月18日(金)18:30〜20:45 アクロス福岡608会議室
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講演録をブックレットとして刊行
文化政策レクチャーVol.4「市民と行政がつくる文化振興プラン」は、さながら小暮ゼミ状態。前半は現在パブリックコメントを募集中の福岡県文化振興プランを小暮宣雄さんが読み解いてくださいました。そして後半は、小暮さんが現在関心を寄せている話題2つ「限界芸術」と「アーツ・リパブリック」を語っていただきました。
福岡県のプラン案については、特に前半の文化振興に関する基本的な考え方の部分を中心に少しずつ読みながら感想や関連事項を述べていただき、「読み方」の手ほどきをしてくださった感じです。「つっこめるところの多い案というのはコミュニケーションを促進するもので、とても文化的」という評価?をされていました.。
前半が終わったところで、参加者全員がアートサポートふくおかの用意した「お手軽パブコメ」用紙にプランの案を読んだ感想や意見を書き込んでもらいました。ここで集めた意見は、アートサポートふくおかでとりまとめ、実際にパブリックコメントとして県に提出します。
後半は趣が変わって小暮さんの現在のこだわり「限界芸術」のお話から始まりました。
「限界芸術」とは、例えば村祭りのような生活と芸術の境目領域で、先端芸術や市場芸術、伝統芸術、応用芸術、芸術療法などとともに生活と芸術の相関関係のなかでその位置づけを示されました。鶴見俊輔氏や加藤種男氏の議論に触発されたそうです。
限界芸術の例として、今、小暮さんがハマっているのが「お葬式」。葬祭会館とラブホテルは機能は1つしかない(そこでは1つのコトしかしない)という意味で似ている、という話を嬉々としてなさる小暮さんが、アイランドシティでヤギを飼うというプロジェクトを真面目に説明する藤浩志さんに重なって見えました・・・。
もうひとつ小暮さんが現在考察しているのが「アーツ・リパブリック」。ユルゲン・ハーバーマスの公共圏の理論から、近代の日本が殖産興業、忠臣愛国が公共性となってしまっていた状況から現代は権力から操作されないパブリックな場を親密なコモンの場から生み出せないか、という提案でした。
難しい理論のようにも思えますが、町家を保存してカフェやギャラリーにする動きが増えている状況がまさにこれに当てはまります。温かい雰囲気のなか、アートをダシにあーでもないこーでもないと語り合う場が「公共性」を体現している、というわけです。本来、公立文化施設もこういう公共的な場であるはずなんですが、最近は経費削減のため貸し出し中の部屋以外のロビーなどには冷暖房も入れない、ここに市民が集まってくることを拒むかのような施設もあります。こういうのも「公共施設」っていうのかね。。。
なんてことを思った、刺激的な小暮ゼミでした(古賀弥生)。
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