トップ > 子どもの芸術体験 > 福岡市立舞松原小学校演劇クラブでの演劇ワークショップの報告
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子どもの芸術体験

■子どもの芸術体験コーディネート事業■舞松原小学校演劇クラブ
2003/09〜2004/02 講師:原田ようこ氏(フリー役者・ダンサー)

2004年2月27日28日、子どもたちの半年に亘る稽古の成果を見せる発表会が行なわれました。
このコーディネート事業は、舞松原小学校の演劇クラブ担当の2人の先生方のご要望で、役者兼ダンサーである原田ようこさんを外部講師として招き、約半年にわたって活動を続けて参りました。当初は、子どもたちと先生方が作り上げていくものを原田さんがチャチャを入れ壊していき、従来にないものを作り上げていこうという目標でした。その辺りの成果と反省も含めて、ここに報告いたします。
亀井直子さん音楽の授業音楽の授業
子どもたちが演じた題目は『注文の多い料理店』。
それぞれ山猫グループ、森の精たち、山ぼっこ(山の精)たち、ハンターたち、山に住む猟師とおかみさんとグループに分かれ演じました。先生方や原田さんが当初から望んでいたのは、今までの演劇クラブの演技ではなく、自ら考えて型にはまらない演技をしてもらうこと。そのために、あるお稽古の時には、原田さんが登場人物にない「橋を守るおばあさん」役に扮し、子どもたちに登場人物になりきって「橋を渡る」という課題を与えたことも。
「よっぽど納得させないと橋を渡らせないよ」と言う原田さんの迫真の演技に子どもたちはたじろぎ、戸惑い、役に撤する前に怖くて泣き出す子もいました。また冬休みには「自分の役柄の履歴書を書いてみる」という宿題も。
私たちが思っているよりも子どもたちの頭が固いこともあれば原田さんの言っている言葉が通じて自分で考えて自分の演技をやろうと
する子が出てきたりと、私にとっても新鮮な経験でした。
圧倒的な時間不足や、数年間演劇クラブに所属している子にはある種の演技のパターンが身についてしまっていてなかなかそこから解放できなかったりと原田さんももどかしい思いをなさっていたようです。
けれど、発表会、28日には本当にすてきな子供たちの笑顔を見ることが出来ました!

27日は校内向けの発表会、28日は地域向けの発表会という性格でした。
私は28日しか付き合えなかったのですが、どうやら技術面(音響や照明など→これは子どもたちに責任はないのですが)そして演技の上でも28日の方が良かったようです。お母さん方が見に来てくれるということや「これで最後」という思いがあったからかな?
28日だけすごいメイクをして大興奮。私も借り出されて子どもたちの髪の毛をアップしたり整えたり。
照明も成功し、音響の失敗も偶然の拍手によって救われ、これが最後となる6年生たちは終演後に泣き出してそれはもう、思い出に残るすてきな舞台となりました。
半年付き合ってきた私も、「あの子がこんなに変わったんだ」とか「あの子のこの部分が伸びていけばいいなぁ」とか、じーんとしながら見つめていました。

まだまだコーディネート力が未熟で、半年間いろいろと大変なこともあったのですが、こういう瞬間があるから、これからも頑張りたいなという気持ちになるんですね。つくづくそう思いました。

舞松原小学校・演劇クラブのみんな、有馬先生、石井先生、そして講師の原田ようこさん、お疲れさまでした。
ありがとうございました。

今後もアートサポートふくおかはコーディネート事業を続けてより豊かな社会にしていきたいなと思っています。(柴山麻妃)

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