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子どもの芸術体験

八女学院中学・高等学校演劇部への指導者派遣コーディネート
指導者:劇団座”K2T3 後藤 香氏

校内の発表公演校内の発表公演校内の発表公演校内の発表公演
校内の発表公演校内の発表公演校内の発表公演
2003年11/15(土)、八女学院高校演劇部が校内の発表公演を行いました。八女学院高校演劇部は今年、部員が1年生と中学生(中高一貫教育です)計 7名のみで、先輩がいないため指導者がいない状態になっていました。演劇を通じて皆が力をあわせ1つのものを創り上げる楽しさを味あわせてやりたい、という顧問の先生からのご依頼で、アートサポートふくおかが指導者派遣のコーディネートをさせていただきました。講師は劇団座”K2T3の後藤香さんです。発表公演は後藤さんの脚本「探検隊」で30分ほどのステージでした。

部員は、お姉さんタイプの部長、一番演技がうまいのに裏方志望の副部長、ちっこいキョウちゃん、不思議少女あんな、天然パーマがかわゆい中学生アヤちゃん、ちゃんと目を見て話してくれるようになった藤本少年、そして、シャイなたけざわ少年の7人。
特に大きな問題を抱えている子はおらず、かといって演劇がやりたくて
たまらない、という様子でもなく、のれんに腕押し状態から指導が始まり
ました。
必ずしも好きで入部してきたわけでもない高校生たちを前に、子どもの指導経験が豊富な後藤さんも戸惑われたようです。劇団であれば「明日からもう来なくていい」と斬って捨てて当然のやる気のなさを見せつけられても、学校教育の一環である部活では捨てて行くわけにもいかず、やる気を起こさせるために手綱を締めたり緩めたり。「顧問の五條先生が生徒たちを操る様子を見て、さすが教育者だなあと勉強になりました」と言ってくださいました(後藤さん、お疲れ様でした)。

6月の顔あわせから約5ヶ月、のべ20回ほどの指導という、アートサポートのコーディネート事業の中で最も長い期間にわたる現場となり、それだけに単発のワークショップでは見られない生徒たちの変化を見てとることができました。リーダーとして目覚しく成長した部長を中心に、公演直前にはかなり部活らしい活動ができるまでになったと思います。お客さんを集めるためにポスターをつくり、各教室を回り放送で参加を呼びかけるなど、人前に出ることを恥ずかしがっていた以前とは見違えるようでした。部員以外に手伝いに来てくれる生徒も増え、彼らのためにも公演を成功させなければ、と思っていた、と反省会で発言する子もいました。

公演を経験したことで「もっとやりたい」という欲が出てきた子もいるようです。今後は生徒たちだけで付属の幼稚園での公演をさせてみたいと五條先生は提案されています。後藤さんと五條先生の強力なバックアップがあって成功した校内公演のあと、彼らの真価が問われるのはこれからです。そして、アートサポートふくおかのコーディネート事業の成果も、彼らの今後の活動にかかっていると言えます。
がんばってくれよお! みんなぁ。 部室がもらえるといいね。練習場が卓球部と一緒じゃなくて、演劇部だけのお部屋でさせてもらえるようになるといいね。次の公演もその次の公演も、いっぱい大変な思いをしていっぱい感動して、そしてそれを忘れないで。この体験はきっとあなたたちの力になるから。(古賀弥生)

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